風水は、元来土地を選定するものであったが、時代の変遷とともに、家屋内部の吉凶を判断する宅法や家相も狭義の風水と見なされるようになった。
風水選地の方法に、 四神相応という考え方がある。四神とは天の四方(東西南北)を守護する四獣(青龍・白虎・玄武・朱雀)のことをいい、 これを地上に反映させ、この四神に叶った地形に建造物を置くと、 その後の繁栄につながると考えられた。地勢、地形、水流、方位などを視覚で判断し、その最も吉となる場所を選地する。
龍に見立てた山の連なりを観察し、気の出る穴を探しだす。気が流れ来る祖山から穴までの龍脈の流れを感知し、穴の上には建造物の中で最も重要な建物を配置する。そのような四方の環境を観察した土地の選定法を形成法(巒頭)という。
風水には、地勢を判断する形成法に対し、古代中国の陰陽五行説を根底とし、南宋代に成立発展した理気法がある。八卦、十干十二支、納甲、納音、九星九宮などの占術理論により吉凶を占る方法である。
形成法と理気法の両サイドから土地の吉凶を判断することが最良とされるようになった。
土地選定の場合には、形成、理気、さらに、居住の中心人物となる施主の運気を合わせた見た三方から判断し吉地を選び出すことが重要とされる。
家の内部の吉凶相を判断することを家相という。
家相は、家の中心から見る場合や、人が多く集まる空間(リビング等)から占る場合、各部屋から占る場合によって、判断が異なってくる。
家全体を占るとき、その家の主(あるじ)の生年月日を中心とする。
各部屋を見るとき、部屋の住人の生年月日から吉凶を判断する。
八宅法とは、個人の本命卦(生年月日で判断)を家の宅卦(玄関向き)に合わせて判断する方法である。
中国宋代の風水書には、八卦を坐向方位に当てはめ吉凶を占っている記述がみられる。明代になると、八卦を宅向(宅の入口の向き)に当てはめ占う術法が出始め、清代には、住む人の生年月日と宅向を八卦方位に当てはめ吉凶を占うようになり、現代に至っている。
九星方位の移動と同じく1年、1ヶ月、1日、2時間ごとに吉凶が変化する。
坎宅(北座南向)、艮宅(北東座南西向)、震宅(東座西向)、巽宅(南東座北西向)、離宅(南座北向)、坤宅(南西座北東向)、兌宅(西座東向)、乾宅(北西座南東向)の八宅があり、座向方位に九星方位をのせ吉凶を判断する。
昔々、土地がまだ豊富にあった時代、土地の選定に重要視されたのは、強風(北風)から家屋を守る高い山と、絶えることのない水が家屋前にあることであった。風向きを考慮し、夏は涼しく冬は暖かく、水が豊富にある、そんな土地が吉とされた。そこから風水という名称が生まれた。
土地の選定が至難の業となった現代において、昨今、家相や宅法が重要視されるようになったが、風水地勢の観念は生きており、山を巨大なビルや建物、川の流れを道路の形状等で判断するようになった。
尖った土地
三角やL状の土地は凶相。四方位に、季節に合わせた花樹を植えることで、四季の循環を促し(気の巡りを良くする)吉相に変え、運気を好転させる方法をとる。
尖った家
L状の家は、内部に尖りができる。内部の尖りは殺気となり病気を引き起こす原因となる。
悪い気を吸い取る観葉植物を置くとよい。
向きが逆の家
気の入口となる前方に高い山(巨大なビル)、後方に川、池、広い道路がある家は風水では不運を呼び込む凶相とみる。そのため、入口と出口を逆にすることにより凶を吉に変える。つまり、高い山側の入口は塞ぎ、川や池側に気の入口(玄関または大きな窓)を設けるようにする。
浄化槽が気の入口にある家
下水道の整備がなされていない地域には各家庭に浄化槽が設置されている場合が少なくない。浄化槽は気の出入り口には設置しないのが無難であり、場所を移動するのが最良ではあるが、動かせない場合、炭の力を利用した埋炭法をおこなう。