この世のすべては、陰と陽の2つから成り立つという考えが陰陽二元論である。
混沌とした無極の状態から1つの太極が生まれた。
太極は、陰と陽の相反する2つの気を生み出した。
陰と陽は、お互いがまた2つにわかれ四象となった。
四象は、またさらに2つにわかれ八卦となった。
天は陽、地は陰と解され、天地の融合は万物を生み出した。
太一の陽である太陽と、太陰となる月は、季節の運行を順当に行う。
男(陽)と女(陰)の交合は子孫を残すとされた。
陰陽二元の交合の結果、木・火・土・金・水の五つの気が生じた。
五気の循環は五行と称した。「行」とは、動く、廻る、作用を意味し、
五行も陰と陽に分けられた。
木気は木の兄(甲・きのえ・陽)と、木の弟(乙・きのと・陰)に分けられる。
火気は火の兄(丙・ひのえ・陽)と火の弟(丁・ひのと・陰)に
土気は土の兄(戊・つちのえ・陽)と土の弟(己・つちのと・陰)に
金気は金の兄(庚・かのえ・陽)と金の弟(辛・かのと・陰)に
水気は水の兄(壬・みずのえ・陽)と水の弟(癸・みずのと・陰)に分けられる。
兄(え)が陽で、弟(と)が陰である。
五行には、相生、相剋、比和という3つの循環がある。
相生とは、
木生火(木は火を生む)
火生土(火は土を生む)
土生金(土は金を生む)
金生水(金は水を生む)
水生木(水は木を生む)
という循環を表す。
相剋とは、
水剋火(水は火を剋す)
火剋金(火は金を剋す)
金剋木(金は木を剋す)
木剋土(木は土を剋す)
土剋水(土によって水はせき止められる)
という相手に勝つことをいう。
比和とは、
1. 同じ気が重なることをいう。
2. 力が同等なものをいう。
比和の影響
1. 火に火を注ぐと火の力が強くなる(火事)。
水に水が加わると水の力が強くなる(洪水)。
強くなりすぎるとマイナスの作用になることがある。
2. 同等であるため、力関係の争いがない。
陰陽・五行は干支(十干十二支)と結びついた。
干支(かんし・えと)は十干と十二支で構成されている。
干は、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10こあることから十干という。
甲と、乙は木気、丙と丁は火気、戊と、己は土気、庚と辛は金気、壬と癸は水気に分かれる。
五行 |
木 |
火 |
土 |
金 |
水 |
陽(兄) |
甲 |
丙 |
戊 |
庚 |
壬 |
陰(弟) |
乙 |
丁 |
己 |
辛 |
癸 |
十二支は子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の12こで、円周に30度間隔で置かれる。
今では親しみのある十二支であるが、その始まりは天の気象を見ることから始まった。
古代の人々が、生活する上で最も重要なことは作物の実りである。
春夏秋冬の季節を把握し、いつ種を撒いて、いつ刈り上げるかを知るのは生死をも分ける重要なことであった。
そこで注目されたのが木星である。
しかし、ここで1つ問題が生じた。木星の周期は、西から東へ移動するため、東から西へ移動する地球とは逆方向となる。
古代人は考えた。
「そうだ!木星の反対側に架空の星を置けばいい」
これが十二支の始まりである。
一区画ごとに十二辰(星)を配置して、季節の12ヶ月を把握することした。
この天の十二辰に対応させ、草木の生成過程の順序に12段階に分けたのが十二支である。木星(歳星)は12年で天を1周し、1年に12区割の1つを移動する。
古代中国において、天における五星(木・火・土・金・水)のうち、最も注目されたのは木星である。木星の運行状況に合わせ、木星とは逆の運行をする架空の星を作り、天空の方角を12区分(30度ずつ)に分け、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥とした。
だが、ここでまたひとつ問題が生じた。
どのようにして、民衆に解らせるかということである。
当時、農業に従事する民衆に文字文化はなかった。
そこで登場したのが、身近にいる動物たちである。
十二支に、それぞれ民衆にも判る動物が当てはめられた。
身近にいる動物のはずなのに、なぜ猫はいない?
架空の龍がいるのは、どうして?
十二支の誕生は紀元前であり、猫が登場するのは紀元三世紀以降といわれている。
龍に関しては諸説あり、
当初、鰐(わに)であったものが、その後神聖視される龍に変わったという説が最も有力とされている。
鰐は恐竜よりも古い時代から確認されており、日本でも神話伝説「因幡の白兎」に登場している。
2019年になったら…
2019年は亥年である。
亥方位は北北西、その反対側に位置する十二支は巳、巳は南南東。
きれいに澄んだ夜空を見上げ、南南東方位に大きく輝く星、木星を探してみよう。
十二支は、主に、方位、月、日、時間を表すときなどに使用されている。
北極星の近くに位置する北斗七星は、北極星を中心として1昼夜に1回転、1年で四方(東西南北)を1周する。
方位を12等分にし、「東西南北の正北を子、正東を卯、正南を午、正西を酉とし、子と卯の間には丑・寅、卯と午との間には辰・巳、午と酉の間には未・申、酉と子の間には戌・亥とし、十二辰とした。
木星(歳星)は12年で天を1周する。1年に12区割の1つを移動する。木星は西から東へ移動することから、東から西へ公転する地球や、東から西へ回転する北斗七星の柄とは逆方向となる。そこで、木星を反映する仮の星、太歳が置かれた。この太歳に十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)が割り振られた。これにより太歳の位置と北斗の柄の指す方向が同じとなり、季節の12ヶ月を把握することができた。
澄みきった夜空を見上げた時に、星が白にも紫色にも輝いて見えることがある。
古代の人たちは、これを紫白星と呼んだ。
紫白星は、北斗七星を指して云う。
北斗七星は天帝を乗せる馬車とも称され、尊い星とされた。
この北斗七星と左輔(さほ)、右弼(うひつ)を指していうのが北斗九星である。
一白水星は貧狼(とんろう)、二黒土星は巨門(こもん)、三碧木星は禄存(ろくそん)、四緑木星は文曲(ぶんきょく)、五黄土星は廉貞(れんてい)、六白金星は武曲(ぶきょく)、七赤金星は破軍(はぐん)と、武曲の左右に位置する小さな星、左が左輔(さほ)で八白土星、右の右弼(うひつ)に九紫火星が当てはめられている。
天空の九星と盤上駒の九星が結びついた。
五行には、生数と成数の数が与えられている。
五行 |
水 |
火 |
木 |
金 |
土 |
生数 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
成数 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
土は四行に通じている。生数に土5を足すことにより成数となる。
例えば、水1は動かない水(生数)、土5を足して流れる水(成数)となる。
神社に行くと拝殿前に、向かって右側に桜、左側に橘の樹が植えられていることがある。
右なのになぜ左近なのか?左なのになぜ右近なのか?
これは「帝は北に座し南面する」ことからきている。
つまり、神社の本殿側(北)からみて指している言葉である。
桜は春に花咲き、橘は秋に実を結ぶ。太陽は東からのぼり、西に沈む。
四季を円で描いた場合、春は東、夏は南、秋は西、冬は北に配置され、陰陽五行思想における四気(四季)の循環を表している。
四気が循環することによって、世の中がうまく巡ると考えられているからである。